指導運転士とは?主任運転士との違いとバスの指導運転士

指導運転士の役割と主任運転士との違い、バスの指導運転士を解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が国土交通省・厚生労働省・警察庁などの公的機関と、鉄道会社・バス会社・交通局の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。採用の区分や募集要項、制度は変わることがあるため、最新の情報は各社・各交通局の公式の採用ページで確認してください。

電車の運転台に2人の運転士が乗っていたり、バスに「新人運転士指導中」の札が立っていたりするのを見て、気になったことはありませんか。

結論から言うと、指導運転士とは、見習いの運転士のそばについて、実際の運転を教える運転士のことです。鉄道にもバスにもいて、新人が独り立ちするまでを支えています。

この記事を読むと、指導運転士の役割と主任運転士との違い、鉄道とバスでの指導の中身、指導役になるまでの道のりが分かります。

目次

指導運転士とは?見習いの運転士の横で教える運転士

先に結論

指導運転士は、運転士の養成の最後の段階で、見習いの運転士と一緒に乗務して運転を教える役割の運転士です。会社によっては「指導操縦者」「指導員」「指導乗務員」などとも呼ばれます。

『指導運転士って、学校の先生のような人?』と思う方も多いはずです。

近い面はありますが、教室で教えるだけの人ではありません。実際の営業列車や営業中のバスに一緒に乗り、横で運転を見ながら教えるのが大きな特徴なんです。

鉄道では法律にも「直接の指導」が出てくる

電車を運転するには、国の動力車操縦者運転免許が必要です。ただ、動力車操縦者運転免許に関する省令には、免許が無くても操縦できる場合が書かれています。

その1つが、運転見習中の係員が、免許を持つ人と同じ動力車に乗って、その直接の指導を受ける場合です(省令第3条第1項ただし書)。

つまり、見習いの運転士がハンドルを握る時は、横に免許を持つ指導役がいる、という形になっているんですね。

見習い期間の場面見習いの運転士がすること指導運転士がすること
乗務の前体調と持ち物、その日の運行を確かめる確かめ方を見て、足りない所を伝える
運転中実際に運転する横で見守り、必要な時に声をかける
駅や停留所停車位置や扉の扱いを練習する止まり方や確かめ方を見る
乗務の後気づいた点を振り返るよかった所と直す所を伝える
指導運転士の役割を、乗務前・運転中・停車時・乗務後の場面ごとに、見習い運転士との関わり方で示した図解

指導運転士と一緒に乗る期間はどのくらい?

指導運転士と一緒に乗る期間は、会社によって違います。公式の採用情報に書かれている例を並べてみますね。

会社指導役と乗る期間の例(公式の採用情報より)
とさでん交通(電車)学科・実技の教習と国家試験の後、見習教習が約3か月
京阪電気鉄道(電車)実車訓練で指導員とマンツーマン4カ月ほど(社員紹介より)
京浜急行バス営業所に配属後、指導運転士の同乗が1~2ヶ月
宮城交通(バス)研修センター約1ヶ月、営業所での研修約1.5ヶ月の後、指導運転士の同乗でデビュー

『思ったより長く一緒に乗るんだな』と感じた方もいるかもしれません。それだけ、実際の路線で覚えることが多いということなんです。

期間は時期や本人の習熟によって変わることもあるので、気になる会社の最新の採用情報で確かめてみてください。

運転士の仕事そのものは、電車の運転士の仕事内容|1日の流れと乗務の中身で紹介しています。

指導運転士と主任運転士はどう違う?

指導は「教える役割」、主任は「職場での立場」の呼び方

指導運転士は見習いに運転を教える役割を表す呼び方です。主任運転士は、会社によって意味が違いますが、経験を積んだ運転士の職名や立場として使われることが多い呼び方です。

『指導運転士と主任運転士、どっちが上なの?』と気になりますよね。

実は、この2つはそもそも何を表す言葉かが違うんです。指導は「している役割」、主任は「職場での立場」を表していることが多く、両方を兼ねる場合もあります。

比べる点指導運転士主任運転士
言葉が表すもの見習いに運転を教える役割職場での立場や職名(会社によって違う)
主な仕事見習いと一緒に乗務して運転を教える会社によって違う。運転士の取りまとめなどを担うこともある
呼び方の例指導操縦者、指導員、指導乗務員主任、指導主任運転士など
確かめ方採用ページの研修やキャリアの説明採用ページのキャリアステップの説明

会社ごとの呼び方の例

運転士の後のキャリアとして、指導の役割の名前を出している会社があります。

例えばJR西日本の社員紹介では、後輩の運転士を育てる「指導操縦者」の道が紹介されています(同社の採用ページ)。相鉄の社員紹介でも、運転士を経て指導操縦者になった例が出てきます(同社の採用サイト)。

西武鉄道の採用サイトの社員紹介には、運転士の後に「指導主任運転士」になった例が出てきます(検索結果の抜粋で確認)。このように、指導と主任が1つの職名になっている会社もあるんです。

指導運転士という言葉
  • 見習いに教えるという役割を表す
  • 乗務しながら運転を教える
  • 会社によって指導操縦者などとも呼ぶ
主任運転士という言葉
  • 職場での立場や職名を表すことが多い
  • 中身は会社ごとに違う
  • 指導の役割と兼ねる場合もある

例えば、説明会で先輩の運転士に話を聞ける機会があれば、こんなふうに聞いてみるのも一つの方法です。

「主任運転士という職名は、どんな仕事を任される立場ですか」

職名だけでは分からない中身を、直接聞けるのは大きいですよね。

職名は会社ごとに確かめよう

指導運転士や主任運転士の名前、なれる時期、仕事の範囲は会社ごとに違います。気になる会社があれば、公式の採用ページのキャリアや研修の説明を読んでみてください。

鉄道の指導運転士は何を教える?

学科の後の「実際の乗務」を教える

鉄道の運転士の養成は、研修所などでの学科の後に、実際の列車での見習い乗務に進むのが一般的です。指導運転士は、この見習い乗務でマンツーマンで運転を教えます。

鉄道の運転士は、多くの会社で駅係員や車掌を経てから目指す仕事です。車掌から運転士へのステップは、車掌から運転士へ|鉄道会社で運転士になるまでのステップで紹介しています。

運転士の養成に入ってからの流れを、公式の採用情報で見てみましょう。

会社指導の出てくる場面(公式の採用情報より)
東急電鉄養成所で学科を学んだ後、各乗務職場で指導運転士・指導車掌とマンツーマンで乗務して技能を身につける
阪急電鉄車掌・運転士も師弟制度で、現場で師匠からマンツーマンで教わる
京阪電気鉄道研修施設で法令や車両の知識を学んだ後、実車訓練で指導員とマンツーマンで訓練(社員紹介より)
とさでん交通学科教習・実技教習と国家試験の後、見習教習を経て社内の独立試験へ

見習いの間に教わること

動力車操縦者運転免許の技能試験には、速度観測、距離目測、ブレーキの操作、ブレーキ以外の機器の扱い、定時運転、非常の場合の対応が入っています(動力車操縦者運転免許に関する省令)。

見習いの運転では、こうした力を実際の路線で身につけていきます。例えば、駅ごとにどこからブレーキをかけ始めるか、雨の日はどう変えるか、といったことです。

「この駅は、少し手前から弱めにブレーキを入れてみよう」

「はい。今日は雨なので、いつもより早めにかけます」

こうしたやり取りを重ねて、その路線ならではの感覚を伝えていくのが指導運転士の仕事なんです。

見習いの側から見た、指導運転士との向き合い方

これから運転士を目指す方にとっては、指導運転士は「いちばん近くで教えてくれる先輩」です。教わる側の心がまえも、知っておくと安心ですよね。

『怒られたらどうしよう』と不安になるかもしれません。ただ、指導運転士が細かく声をかけるのは、安全に運転できるようにするためです。

見習いの間に心がけたいこと
  • 教わったことを、乗務の後にメモにまとめる
  • 分からない所は、その日のうちに聞く
  • 同じ注意を受けたら、なぜそうなるかを考える
  • 体調を整えて、毎日の乗務に臨む
鉄道の運転士の養成の一般的な流れ
  1. 社内の選考や適性検査を受ける
  2. 養成所などで法令や車両のしくみを学ぶ
  3. 指導運転士と一緒に見習いとして乗務する
  4. 国の試験と社内の試験に合格する
  5. 運転士として独り立ちする

バスの指導運転士の仕事

バスでも「指導運転士の同乗」が独り立ちの前の段階

バス会社でも、研修センターなどでの教習の後、営業所で指導運転士が同乗したりマンツーマンで指導したりする期間があり、その後に単独での乗務になる流れが多く見られます。

バスで「新人運転士指導中」の札を見て、『隣でメモを取っている人は誰だろう』と思った方もいますよね。

バスの指導運転士も、鉄道と同じように新人の運転を横で見ながら教えます。バス指導運転士ならではの点は、道路の上を走るので、ほかの車や歩行者、停留所での乗り降りの様子まで見ながら教えることです。

バス会社指導運転士が出てくる場面(公式の採用情報より)
JRバス関東新人訓練は指導運転士が担当。運転士から指導運転士へのキャリアアップも紹介
国際興業本社での導入研修の後、営業所で指導運転士がマンツーマンで指導し、単独乗務試験へ
京浜急行バス研修・教育センターでの教習の後、営業所で指導運転士が同乗し、見極めテストを経て単独乗務
宮城交通研修センターと営業所での研修の後、指導運転士の同乗でデビュー

指導運転士バスの仕事は運転だけではない

バスの指導では、運転のほかに、車内の案内や運賃の扱い、乗り降りの時の確かめ方も教えます。

例えば、停留所でお客さまが乗り終わったかをどう確かめるか、車内の放送をどのタイミングで入れるか、といったことです。

鉄道とバスで、指導の中身を比べるとこうなります。

教えること鉄道の指導運転士バスの指導運転士
運転速度やブレーキの扱い、決まった位置に止める道路の状況に合わせた運転、停留所への寄せ方
周りの確かめ信号や線路の様子を確かめるほかの車や歩行者、自転車を確かめる
お客さまへの対応車内放送や異常時の案内車内の案内、運賃の扱い、乗り降りの確かめ
路線の覚え方駅ごとの止まり方や勾配曲がり角や停留所の位置、混みやすい場所

「この停留所は、後ろからの自転車に気をつけて寄せよう」

バスでは、こうした道路ならではの声かけが多くなります。

女性の指導役がいる会社もあります。小田急バスのFAQでは新人を指導する女性の指導運転士がいると書かれ、京王バスのFAQでも女性の指導乗務員の活躍が紹介されています。

バスの運転士の仕事の全体は、バスの運転士の仕事内容|路線・高速・観光の違いと1日の流れで紹介しています。

名古屋市バスの指導運転士は?

名古屋市バスの指導運転士について調べている方もいるはずです。

名古屋市交通局の公式の採用ページでは、「指導運転士」という職名は確認できませんでした。キャリアとしては「バス助役」の記載があることを、検索結果の抜粋で確かめています。

公営バスの職名や昇任の仕組みは、交通局ごとに違います。公営バスの採用の流れは公営バスの運転士|京都市バス・名古屋市バスの採用と働き方で紹介しているので、あわせて読んでみてください。最新の情報は、各交通局の公式の採用ページで確かめましょう。

運転士ドットコム

バスやトラックの運転士への転職を考えている方へ

バスやトラックなど運転の仕事は、会社によって免許取得の支援や勤務の形、休日の取り方が大きく違います。一人で求人票を見比べるのが大変な時は、ドライバー専門の転職支援サービスに無料で相談して、希望に合う求人や条件を確かめてみましょう。

無料ドライバー専門の転職支援サービスを見る

鉄道会社の運転士は、各社の公式の採用ページから応募するのが一般的です。転職支援サービスは主にバス・トラック・タクシーなどの運転の仕事を扱っています。

指導役になるのはいつ?身につけておきたい力

指導役は、運転士として経験を積んだ後の道の1つ

指導運転士は、運転士として何年か乗務を重ねた後に任される役割として紹介されることが多いです。なれる時期や選ばれ方は会社ごとに違います。

『自分もいつか、新人を教える側になれるのかな』と考える方もいますよね。

相鉄の社員紹介では、入社1年目に駅係員、2年目に車掌、3年目から運転士になり、7年目から指導操縦者になった例が紹介されています(同社の採用サイト)。これは1人の例なので、目安の1つとして見てください。

JRバス関東の採用FAQでは、運転士から指導運転士・運行管理者・現業管理者へのキャリアアップができると書かれています。

指導役までの段階よく見られる中身この時期に意識したいこと
見習い・新人指導運転士について運転を覚える教わったことをメモして振り返る
独り立ちした運転士一人で乗務を重ねる確かめる習慣を自分のものにする
経験を積んだ運転士後輩に声をかけたり相談に乗ったりする自分のやり方を言葉で説明できるようにする
指導役見習いと一緒に乗務して教える相手に合わせた伝え方をする

指導運転士になるメリットは?

指導役になると、自分の運転を見直す機会が増えます。人に教えるために言葉にしてみると、自分でも気づいていなかった癖が見えてくることも。

新人が独り立ちした日に、自分が教えた運転で走っている姿を見られるのは、指導役ならではの喜びですよね。

また、JRバス関東のように、指導運転士の先に運行管理者や現業管理者への道を紹介している会社もあります。指導の経験は、職場をまとめる立場を目指す時の土台にもなります。

指導役に求められる力のチェック

運転がうまいだけでは、教える側としては足りないこともあります。自分の運転を言葉にして伝えられるかどうかが、ここでは大事になってくるんです。

指導役を目指す人のセルフチェック
  • 自分がしている確かめの動作を、順番に説明できる
  • ブレーキの感覚などを、相手に分かる言葉にできる
  • 相手のミスを責めずに、直し方を伝えられる
  • 教わった頃の自分の失敗を覚えている
  • 体調を整え、落ち着いて乗務を続けている
よくある思い込み

『運転が上手ければ、自然と指導役になれる』と考えてしまうことです。指導役には、相手の様子を見て伝え方を変える力も求められます。日ごろから後輩に説明する機会を大事にしておきましょう。

指導運転士のよくある相談

相談で多いのは「2人乗務」と「年齢」と「バスの指導」

指導運転士についての相談は、運転台に2人いる時の役割、指導運転士の年齢、バスでの指導の様子についてのものが多く見られます。

Q&Aサイトでよく見かける相談を、要約してお答えします。

運転台に2人いたら、見習いと指導運転士?

「電車の運転席に運転士が2人乗っている時、運転しているのが見習いで、横で見ているのが指導運転士か」という相談があります。

見習いの運転士が運転し、免許を持つ指導役がそばで指導している場面であることが多いです。省令でも、運転見習中の係員は免許を持つ人と同じ動力車に乗って直接の指導を受ける形が定められています。

ただ、2人乗っている理由はほかにもありえます。乗っている人の役割は、会社の運用によって違うと考えておきましょう。

指導運転士は年配の人が多い?

「電車の指導運転士は年配の人が多いように見えるが、若い見習いを教えるのは30代後半くらいが望ましいのでは」という相談もあります。

指導役は、運転士として経験を積んだ人が任される役割なので、見た目に年齢が高めの人が多く感じられるのは自然なことです。

一方で、相鉄の社員紹介のように、入社7年目で指導操縦者になった例もあります。指導役になる年齢は、会社ごとの養成や配置の考え方で変わります。

バスで新人の横に座ってメモを取っていた人は?

「路線バスに『新人運転士指導中』の札があり、運転士の左側の席で、運転を見ながらメモを取っている人がいた」という相談もよく見かけます。

これは、バスの指導運転士や研修の担当者が、新人の運転を見ている場面だと考えられます。乗り終わった後に、その日の運転について振り返りをすることが多いんです。

指導運転士を目指す運転士が、見習い・独り立ち・経験を積んだ運転士・指導役と段階を進んでいく流れを示した図解

よくある質問

指導運転士とは何ですか?

見習いの運転士と一緒に乗務して、実際の運転を教える運転士のことです。鉄道にもバスにもいて、会社によって指導操縦者や指導員などとも呼ばれます。

指導運転士と主任運転士の違いは何ですか?

指導運転士は見習いに教える役割を表す呼び方で、主任運転士は職場での立場や職名として使われることが多い呼び方です。中身は会社ごとに違い、指導主任運転士のように両方を兼ねた職名もあります。

バスの指導運転士は何をするのですか?

研修センターなどでの教習を終えた新人に同乗したり、マンツーマンで指導したりして、営業所の路線での運転や車内の案内、乗り降りの確かめ方を教えます。その後、見極めの試験を経て単独での乗務になる流れが多く見られます。

指導運転士と一緒に乗る期間はどのくらいですか?

会社によって違います。公式の採用情報では、とさでん交通の見習教習が約3か月、京浜急行バスの指導運転士の同乗が1~2ヶ月といった例があります。

名古屋市バスに指導運転士はいますか?

名古屋市交通局の公式の採用ページでは、指導運転士という職名は確認できませんでした。職名や昇任の仕組みは、名古屋市交通局の公式の採用ページで確かめてください。

まとめ

この記事の要点
  • 指導運転士は、見習いの運転士と一緒に乗務して運転を教える運転士
  • 主任運転士は職場での立場や職名として使われることが多く、中身は会社ごとに違う
  • 鉄道もバスも、学科や教習の後に指導運転士と乗務する期間がある
  • 指導役は、運転士として経験を積んだ後のキャリアの1つ
  • 運転士の仕事の全体像は運転士とは?で確かめられる
運転士ドットコム

運転士ドットコム 編集部

電車・バス・路面電車などの運転士の仕事内容、必要な免許、運転士になるまでの道のり、鉄道会社・バス会社の採用の入口、転職の進め方を、運転士を目指す人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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