嘱託運転士とは?定年後も運転士として働く再雇用の仕組み

嘱託運転士とは何か、定年後も運転士として働く再雇用の仕組みを解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が国土交通省・厚生労働省・警察庁などの公的機関と、鉄道会社・バス会社・交通局の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。採用の区分や募集要項、制度は変わることがあるため、最新の情報は各社・各交通局の公式の採用ページで確認してください。

求人で「嘱託運転士」という言葉を見かけて、正社員と何が違うのか気になった方もいますよね。

結論から言うと、嘱託運転士とは、正社員とは別の契約で運転の仕事を任される働き方です。定年を迎えた運転士が再雇用で働き続ける時によく使われますが、定年前の人を嘱託で募集する会社もあります。

この記事を読むと、嘱託運転士の意味と正社員との違い、定年後の再雇用の仕組み、応募の前に確かめたいことが分かります。

目次

嘱託運転士とは?正社員と何が違う?

先に結論

嘱託運転士は、会社と期間などを決めた契約を結んで運転の仕事をする運転士のことです。契約の期間や更新、給料の決め方、任される仕事の範囲が、正社員とは違うことが多い働き方です。

『嘱託って、アルバイトとどう違うの?』と思う方も多いはずです。

嘱託は、会社によって使い方が違う言葉なんです。多くの場合、定年後に再雇用された人や、特定の仕事を任される人の雇用の形として使われています。

運転士の仕事そのものは、正社員と同じようにハンドルを握ることがほとんどです。違うのは、雇用の契約の中身です。

比べる点正社員の運転士嘱託運転士
契約の期間期間の定めがないことが多い1年などの期間を決め、更新することが多い
主な対象新卒や中途で入社した人定年後の再雇用の人、経験者など
給料の決め方会社の給与の仕組みで決まる契約ごとに決まり、正社員と違うことがある
仕事の範囲運転のほか、指導や管理の役割に進むことも運転の仕事が中心のことが多い
養成制度免許の取得支援などがあることも免許を持っている人が対象のことがある
嘱託運転士と正社員の運転士の違いを、契約の期間・主な対象・給料の決め方・仕事の範囲で比べた図解

嘱託・契約社員・パートタイム、名前の違いは?

運転士の求人には、嘱託のほかにも「契約社員」「パートタイム」「会計年度任用職員」など、いろいろな雇用の形が出てきます。名前が違っても、期間を決めた契約で働く点は似ていることが多いですよね。

求人に出てくる名前公式の採用情報で見られる例
嘱託平成筑豊鉄道の列車運転士(1年契約・更新あり)、東京空港交通の運転手(嘱託)
契約社員JR東海バスの中途の運転士。正社員登用は年2回(勤続6カ月以上が受験対象)
パートタイム京都市交通局の市バス運転士。大型二種免許を持つ人が対象
会計年度任用職員名古屋市交通局の養成型。大型二種免許を取った後の選考で正規職員に

大事なのは名前より中身です。『嘱託だから不安』『契約社員だから安心』と名前だけで決めず、期間と更新、正社員への道を1つずつ確かめてみてください。

契約の期間と更新を先に確かめよう

嘱託の求人で大事なのは、契約の期間と更新の考え方です。

例えば、平成筑豊鉄道の列車運転士の募集は、1年契約で更新ありの嘱託社員でした(同社の掲載)。こうした書き方を見て、更新の条件まで聞いておくと安心ですよね。

嘱託の求人で確かめたいこと
  • 契約の期間と、更新の有無・条件を確かめる
  • 何歳まで更新できるかを確かめる
  • 給料の決め方と、賞与の有無を確かめる
  • 勤務の形と、乗務の量を確かめる
  • 正社員への登用の道があるかを確かめる

定年後の再雇用はどんな仕組み?国のルールを見てみよう

65歳までは雇用の確保が義務、70歳までは努力義務

高年齢者雇用安定法では、会社に65歳までの雇用を確保する措置が義務づけられ、70歳までの就業の機会を確保する措置が努力義務になっています。定年後に嘱託で働き続ける形は、この中の継続雇用制度にあたることが多いです。

『定年になったら、運転士はそこで終わり?』と心配な方もいますよね。

実は、国のルールで、会社は65歳までの雇用を確保する仕組みを持つことになっているんです。

年齢会社に求められること選べる方法
65歳まで雇用確保措置(義務)定年制の廃止、65歳までの定年の引き上げ、希望者全員の65歳までの継続雇用制度のいずれか
70歳まで就業確保措置(努力義務)70歳までの定年の引き上げ、定年制の廃止、70歳までの継続雇用制度、業務委託契約や社会貢献事業の制度のいずれか

継続雇用の対象者を労使協定で限ることができた経過措置は、2025年3月31日で終わっています。今は、65歳までは希望者全員が対象の考え方です。

70歳までのルールは努力義務なので、70歳までの定年の引き上げを義務づけるものではありません。詳しくは厚生労働省の高年齢者雇用安定法のページで確かめられます。

3つの方法、運転士にとっての違いは?

65歳までの3つの方法のうち、どれを会社が選んでいるかで、運転士の働き方も変わってきます。

定年が65歳に引き上げられている会社なら、65歳まで正社員のまま運転を続けられます。一方、60歳などの定年の後に継続雇用制度で働く会社なら、定年の後は嘱託などの契約に切り替わることが多いんです。

『自分の会社はどれだろう』と思ったら、就業規則や人事の窓口で確かめてみてください。

再雇用の中身は会社ごとに違う

国のルールは「雇用を確保する仕組みを持つこと」を求めるものです。再雇用後の給料や勤務の形、運転の仕事を続けられるかは、会社ごとの決まりで変わります。

鉄道とバスでの嘱託運転士の例

定年の年齢と、再雇用で何歳まで働けるかは会社ごとに違う

公式の採用情報を見ると、バス会社では定年後の再雇用で70歳を超えて働ける例も見られます。鉄道でも、免許を持つ経験者を嘱託で募集する例があります。

運転士の嘱託の働き方は、公式の採用情報からいくつか読み取れます。

会社公式の採用情報に書かれていること
阪急バス定年65歳、再雇用で70歳まで
南海バス定年65歳、再雇用で73歳まで
三重交通65歳定年、最長72歳まで再雇用
東京空港交通運転手の区分に「嘱託」「シニア歓迎」がある。嘱託の職種には養成制度がない
平成筑豊鉄道甲種内燃車運転免許を持つ人を対象に、列車運転士を嘱託社員(1年契約・更新あり)で募集

最新の募集要項は、各社の公式の採用ページで確かめてくださいね。

嘱託の求人は、免許を持つ人向けのことが多い

東京空港交通のように、嘱託の区分には養成制度がない会社もあります。大型二種免許や動力車操縦者運転免許をすでに持っている人を対象にした募集が多いんです。

『未経験から嘱託で入れるかも』と考えていた方は、応募資格の欄を先に読んでおきましょう。

バスの運転士の仕事の中身は、バスの運転士の仕事内容|路線・高速・観光の違いと1日の流れで紹介しています。

別の会社で嘱託として働く道もある

定年後の働き方は、同じ会社での再雇用だけではありません。運転の経験と免許を生かして、別の会社の嘱託やシニア向けの募集に応募する人もいます。

例えば、長く路線バスに乗ってきた人が、定年後に別のバス会社のシニア歓迎の区分で働く、といった選び方です。会社が変わると、勤務の形や乗る路線も変わるので、見学や説明会で職場の様子を見ておくと安心ですよね。

求人の探し方

嘱託運転士の求人は、各社の採用ページやハローワークで探せます。バスやトラックの運転の仕事なら、ドライバー専門の転職支援サービスで条件を相談しながら探す方法もあります。

探し方の違いは、運転士の求人の探し方で詳しく紹介しています。

運転士ドットコム

バスやトラックの運転士への転職を考えている方へ

バスやトラックなど運転の仕事は、会社によって免許取得の支援や勤務の形、休日の取り方が大きく違います。一人で求人票を見比べるのが大変な時は、ドライバー専門の転職支援サービスに無料で相談して、希望に合う求人や条件を確かめてみましょう。

無料ドライバー専門の転職支援サービスを見る

鉄道会社の運転士は、各社の公式の採用ページから応募するのが一般的です。転職支援サービスは主にバス・トラック・タクシーなどの運転の仕事を扱っています。

年齢を重ねて運転を続けるためのチェック

体調と契約の両方を、早めに確かめておく

長く運転を続けるには、自分の体調を整えることと、契約や勤務の形を前もって確かめておくことの両方が大事です。

運転の仕事は、毎日の体調がそのまま安全につながります。年齢を重ねるほど、この準備の大切さが増してきますよね。

例えば、定年まで数年の運転士で、その後も同じ会社で運転を続けたい場合を考えてみましょう。

この時は、定年の少し前に、再雇用後の勤務の形や給料の考え方を会社に聞いておくと、その後の生活の見通しが立てやすくなります。

「定年後に嘱託になった場合、乗務の勤務の形は今と変わりますか」

「契約の更新は、どんな時に見直しになりますか」

定年の前に進めておきたいこと
  1. 会社の定年の年齢と、再雇用の決まりを確かめる
  2. 再雇用後の契約の期間、給料、勤務の形を聞く
  3. 健康診断の結果を見て、体調を整える習慣を続ける
  4. 別の会社で働くことも考えるなら、求人の条件を比べる
定年後も運転士として働くために、定年の前に再雇用の決まりや契約、体調を確かめていく流れを示した図解
よくある思い込み

『再雇用なら、今と同じ条件で働ける』と思い込んでしまうことです。給料や勤務の形が変わることもあるので、契約の中身を書面で確かめておきましょう。

給料の考え方は、運転士の年収・給料はどのくらい?で紹介しています。

嘱託運転士のよくある相談

相談で多いのは「何歳まで?」「若くても嘱託?」「どんな人が受かる?」

嘱託運転士についての相談は、運転士は何歳まで乗務できるか、若い人でも嘱託があるか、嘱託の採用試験にどんな人が受かるか、が多く見られます。

Q&Aサイトでよく見かける相談を、要約してお答えします。

鉄道の運転士は何歳まで乗務できる?

「鉄道の運転士は何歳まで乗務できるのか。65歳の定年で乗務も終わりか」という相談があります。

何歳まで乗務できるかは、会社の定年と再雇用の決まりによって変わります。国のルールでは65歳までの雇用確保が義務、70歳までの就業確保が努力義務です。気になる会社があれば、採用ページや説明会で再雇用の扱いを聞いてみてください。

路線バスで、若い人でも嘱託はいる?

「路線バスの運転士で、若い人でも嘱託の人はいるのか」という相談もあります。

嘱託は定年後の再雇用だけの言葉ではないので、会社によっては若い人を嘱託の区分で採用することもあります。応募する時は、正社員への登用の道があるかもあわせて確かめておきましょう。

交通局の嘱託運転士の試験、どんな人が受かる?

「交通局の市バスの嘱託運転士の採用試験に合格するには、どんな人が採用されるのか」という相談もよく見かけます。

採用の基準は公開されていないことが多いですが、選考では安全に運転できるか、時間を守り落ち着いて対応できるかが見られます。面接では、これまでの運転で気をつけてきたことを、具体的な場面と一緒に伝えてみてください。

よくある質問

嘱託運転士とは何ですか?

正社員とは別の契約で運転の仕事を任される運転士のことです。定年後の再雇用で使われることが多いですが、定年前の人を嘱託で募集する会社もあります。

定年後も運転士として働けますか?

高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用確保措置が会社の義務になっています。再雇用で働けるかや何歳まで働けるかは会社ごとに違うので、採用ページや社内の決まりで確かめましょう。

嘱託運転士の給料は正社員と同じですか?

会社によって違います。契約ごとに給料が決まり、正社員と違うことがあるので、求人票や契約書で確かめておきましょう。

嘱託運転士から正社員になれることはありますか?

会社によっては、契約の働き方から正社員への登用の道を用意しています。例えばJR東海バスは、中途の運転士を契約社員で採用し、正社員登用を年2回行うと採用ページに書いています。

未経験でも嘱託運転士に応募できますか?

嘱託の募集は、大型二種免許や動力車操縦者運転免許をすでに持つ人を対象にしていることが多いです。応募資格の欄を先に確かめてください。

まとめ

この記事の要点
  • 嘱託運転士は、正社員とは別の契約で運転の仕事を任される働き方
  • 65歳までの雇用確保は会社の義務、70歳までの就業確保は努力義務
  • 定年の年齢や再雇用で何歳まで働けるかは会社ごとに違う
  • 嘱託の求人では、契約の期間と更新、給料、勤務の形を先に確かめる
  • 運転士の仕事の全体像は運転士とは?で確かめられる
運転士ドットコム

運転士ドットコム 編集部

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